一般ユーザーは今、何に注意すべきか?
短期的に必要な行動はないが、二点覚えておきたい。第一に、メインネットの日付は未定なので、具体的な公開日を伝える情報は公式ソースで確認すること。第二に、今後エアドロップの受け取り、一括ミント、頻繁な新規アカウント作成を行う場合、1操作あたりのコストが現在より上がる可能性がある。一方、通常の送金は21,000ガスに据え置かれるため、日常の送金はこの再価格設定の影響を受けない。
2026年10月6日、イーサリアムの次の大型ハードフォークGlamsterdamがSepoliaテストネットで始動した。当初は8月3日の予定で、2か月以上遅れた。イーサリアム公式ロードマップは現在も「2026年第4四半期にメインネット予定、日付は未確認」としている。つまり今回起きたのはリハーサルであり、メインネット公開ではない。
TechFlowの報道(KuCoin転載)によると、Sepoliaのガスリミットはフォーク後11時間で約6,000万から約2億へ引き上げられ、現行水準の約3.3倍に達した。チェーンは重大な障害なくファイナライズを続けた。同報道では、クライアントごとに1ノードで見た場合、Gethが4,000万ガスのブロックを処理する時間は約115ミリ秒から約30ミリ秒に短縮された。ただし筆者自身が、データは1日に満たないと断っている。
Glamsterdamは18のEIPをまとめており、特に重要なのは二つである。一つはEIP-7732、プロトコル組み込みの提案者・ビルダー分離(ePBS)だ。現在、ブロックビルダーと提案者の受け渡しはMEV-Boostのようなプロトコル外のリレー経由で行われている。ePBSはこの受け渡しをプロトコル内に取り込み、バリデーターのデータ伝播・検証の時間窓も約9秒に広がるため、より大きなブロックを扱う余地が生まれる。もう一つはEIP-7928のブロックレベルアクセスリスト(BAL)だ。実行前に各トランザクションが触れる状態を宣言するので、ノードは重複しないトランザクションを並列処理でき、新規ノードの同期でも全件を再実行せず結果を適用できる。
ガスリミットが6,000万から2億になっても、フォークの有効化と同時にスループットが3倍になるわけではない。フォークが可能にするのは、より大きなブロックを安全に生成することであり、実際に上限を上げるかどうかはバリデーターの判断に委ねられる。注目すべきは同じパッケージ内の再価格設定だ。EIP-8037は新規ストレージスロットの作成コストを20,000ガスから97,920ガスへ、約4.9倍に引き上げる。EIP-2780は既存アカウントへの通常のETH送金を21,000ガスに据え置く。報道は、エアドロップ、ミント、新規ウォレット作成が目に見えて高くなると見ている。またEIP-7954はコントラクトサイズ上限を24KiBから64KiBに緩和する。イーサリアム財団は、ガスリミットが固定だと仮定するウォレット、インデクサー、ガス見積もりツールに更新が必要だと警告している。
報道によれば、Hoodiテストネットは10月27日前後が提案されているが未確定で、メインネットは第4四半期が目標とされる。当初計画は2026年上半期だった。財団やクライアントチームからメインネットの日付は発表されておらず、日付を断定する情報は鵜呑みにできない。
ETHを保有するだけ、あるいはレイヤー2を使うだけなら、今すぐ必要な行動はない。テストネットの段階であり、メインネットの日付も未定だ。直接影響を受けるのは三者である。エアドロップ、ミント、大量のウォレット作成を行うチームは、将来、1操作あたりのコストが目に見えて上がる可能性がある。ウォレットやインデクサー、ガス見積もりツールを保守する開発者は、ガスリミット固定という前提を捨てる必要がある。ステーカーとノード運営者は、ePBS後にステーキングプールがビルダー支払いを監視する方法の更新が必要になる点に注意したい。「容量3.3倍」を「手数料が3.3分の1」と読むのはよくある誤解だ。容量は上限であり、手数料は需要と上記の再価格設定にも左右される。